2021年04月24日

第6回 多良の森トレイルランニング


「努力は必ず報われる」とは、白血病に打ち勝ってオリンピックスイマーとして返り咲いた池江璃花子さんが発した言葉です。これを聞いて私は、大会7日前と4日前という直前ではありましたが2度にわたり、冬の間はやめていた山でのトレーニングを敢行。自分で言うのもなんですが、これは“努力”以外のなにものでもありません。
また、大会前一週間の禁酒の誓いを立てました。この間に2回だけうっかり掟を破ってしまったものの、毎日欠かさず飲んでいた私にしては、かなり努力をした方だと思います。さらに言えば、若いランナーたちを見た目で怖気づかせようとこけおどしの無精髭を伸ばしたことだって、努力の一つと言えるのではないでしょうか。

無精髭 - 1.jpeg

さて4月11日(日)の早朝は、長崎県大村市の野岳湖公園を発着点として開催された「第6回 多良の森トレイルランニング」のスタートゲート前にいました。私が出たのは、距離が40Kmで累積標高差3,400mの修験者コース。長崎県と佐賀県にまたがる多良岳県立自然公園の広大な森林を駆け巡る、素晴らしいトレイルでした。

スタート前 - 1.jpeg

午前7時に、修験者コースのランナー196人がスタート。途中2カ所の関門をクリアしながら、制限時刻の午後5時半までにゴールへ帰ってこなければいけません。私の場合、トレイルレースは昨年10月の「からすてんぐ100」以来なので、気分は新鮮でした。しかし走り出してみると、やけに体が重い。修験者コースの場合はエイドが2か所しかなく、第1エイドまでは17キロもありました。水分が不足するのを恐れ、飲み物だけで2.3Lも背負ったことも影響したのかもしれません。いつもなら、血が巡るに従ってしだいに足どりも軽くなるのですが、この日は終始、疲労感を引きずっているような走りでした。
それでも前述のような“努力”を根拠に、ぼんやりとした自信のようなものは、心のどこかにありました。これが油断につながったことは否定できません。

スタートしてしばらくは舗装路ですが、3キロほど進んだところでトレイルへ入ります。この時点で、私の前に7割、後ろに3割くらいのランナーがいたと思います。久しぶりのレースの狙いは完走。決して無理せず、終盤まで前から8割以内くらいの順位をキープして、鳥取弁で言えば「しぶとく、ゆっくり、 落ち着いて」という意味の“しんわりたんわり”した走りでゴールを狙う作戦でした。



山へ入る - 1.jpeg

6キロほど進んだところで、コースは直進でしたが、居合わせたスタッフが「郡岳山頂は左です」と教えてくれました。見ると、左に20メートルほど進んだところに、山頂が見えます。寄り道せずに直進するランナーもいましたが、私は多数に従って左折すると、スタッフにカメラを渡して記念撮影をしてもらった後も、しばらくは山頂からの展望を楽しみます。



[郡岳山頂(写真のランナーは私ではありません)]
郡岳山頂 - 1 (1).jpeg

この後はコース図の高低差図から読み取る限り、17キロ地点の第1エイドまでさほど激しいアップダウンはないと見ていましたが、実際には平坦な部分がほとんどなく、小刻みな登りと下りが繰り返されました。

高低図1 - 1.jpeg

この間、苦手な下りだけでなく登りの場面でも追い抜かれる場面が多くなり、前後のランナーの姿が次第に少なくなっていきます。


登る - 1.jpeg

第1エイドの関門時刻は12時30分でしたが、その1時間前になっても見えてきません。少し焦りを感じはじめたこのあたりから、私と同じような年頃で明るいグリーンのTシャツを着たランナーさんとペースが合い、時々話をしながら進みました。佐賀県にお住まいというこのランナーさんは一昨年も出場されたそうですが、その時は第2関門の制限時間に間に合わなかったとのこと。「今日も難しいかもしれないなあ」という言葉に、危機感を覚えます。

グリーンのランナー - 1.jpeg

このランナーさんに少し遅れて、第1エイドへ入りました。ここでは、走友である佐賀県のIさんがスタッフを務めており、手指消毒のボトルを持って出迎えてくれました。

いびさん - 1 (1).jpeg


さて、この時の時刻は11時43分。関門時刻の47分前というのは微妙なところですが、「まだ余裕はある」と前向きに考えた私です。ただ、レース前にコース図を見た時に、ここから9.5キロ先の第2関門の関門時刻が午後2時で、90分しかとられていないことを疑問を感じました。10キロ近いトレイルを1時間半で行けるとは、ちょっと考えにくかったからです。ただ、高低図を見ると、この区間の後半は下り基調になっているので、登山道ではなく走りやすい林道かもしれないと、楽観的に考えることにしました。


しかし、そんな期待は無残にも打ち砕かれ、この後も中岳に向かう激しいアップダウンが待ち構えていました。ようやくこれを超えて展望が開けた場所に来た時、居合わせたスタッフに、「第2関門まであと6.5キロ。かなり厳しいタイムです」と告げられます。すぐ下の広場に車が停まっているのが見えたので、「ここからは林道ですか?」と聞いたところ、「いえ、登山道です」というつれない返事。それを聞いた時は、心が折れそうでした。



中岳を過ぎた - 1.jpeg

舗装路を横目に見ながら、再び登山道へ入っていきます。高低図では単純な下りに見えるこの区間も、あに図らんや小刻みなアップダウンの連続でした。かすかに抱いていた完走の夢は、ここで消え去ります。


力が尽きる - 1.jpeg

そうして関門時刻の14時を、森の中で迎えました。

タイムアウト - 1.jpeg

そこからしばらく進んだところで、眼下の狭い谷底に何やら白いものが見えます。第2エイドは「砂防公園」となっていたので、「あれがエイドのテントかもしれない。もう少し早ければ間に合ったのに」と思いながら下っていきました。しかしそれはテントではなく、コースを覆いつくす白い岩石。「この上を行けというのか」と、思わず笑いだしそうになりました。そして、このレースを舐めてかかり、ただ漫然と走って来た自分が情けなく、滑稽にも思いました。


白い岩 - 1 (1).jpeg

こうして、第2エイドに着いたのは午後2時30分。30分もの完全なタイムオーバーには、ぐうの音も出ません。すでに片付けが始まっていたエイドの前で、収容車を待ちます。

第2エイド - 1 (1).jpeg

この後、車で送ってもらい帰ってきた野岳湖公園の会場では、次々とゴールをしてくるランナーたちが歓声で迎えられ、傍らでは入賞した選手の表彰式が行われていました。その光景がやけに眩しく見えたのは、決して強い陽射しのためだけではなかったと思います。


ゴールの光景 - 1.jpeg

さて、こんな不甲斐ない結果に終わった私はいま、「努力は必ず報われる」というのは真実でないと考えています。池江選手のような稀に見る天才は別として、私たちのような凡人にはむしろ、「生半可な努力は、決して報われない」という言葉をかけていただく方が適切なのではないでしょうか。


(私の記録)
ナンバー 237
タ イ ム  第2関門(26.7Km)に30分遅れの7時間00分
順  位 − 位/196人(出走数)
完 走 率  81%(159/196人)



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ラベル:トレイル
posted by との at 10:09| 鳥取 | Comment(0) | 走る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月18日

『ランニングの世界 26』


『ランニングの世界』は、自然流ランニングの普及に努めている元群馬大学名誉教授の山西哲郎さんを編集責任者とする冊子です。ある走友を通じたご縁で、このほど発行された26号に私の拙文も掲載されました。
この号の特集のテーマは「明日に向かって走れ! 〜コロナ禍のランナー達」。山西さんと善光寺の栢木寛照大僧正の対談記事などの他、コロナで一変した日常などについて25人のランナーが寄稿しています。もし関心がおありでしたら、アマゾンなどでもお求めいただけます。なお、誤解の無いように申し添えますが、これで私に印税が入ることはありません(笑)
ちなみに私は、「コロナ禍の中で思う 走ることと私」というタイトルで、今まで走ってきた経過を振り返りながら、コロナ禍の中でもランニングを楽しめている日々について書きました。

ランニングの世界26 - 1 (1).jpeg


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posted by との at 05:59| 鳥取 ☀| Comment(0) | 走る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする