12月27日(日)は、走友のドスコイさんプロデュースによる「煩悩マラソン2015」に参加しました。
これは別名「108マラソン」とも言い、倉吉市陸上競技場の400メートルトラックを108周、つまり43.2キロを走ることで108つの煩悩を汗で流してしまおうという、年末らしい仲間内企画です。
さて、9時の集合時間に陸上競技場に集まった煩悩フル装備の15名は、雨模様の空を恨めしそうに見上げました。
しかし、「せっかくならいい天気の中で走りたい」などという身勝手な欲望こそ、ランナーにとっては、最も忌むべき煩悩なのです。「雨がどうした!」とばかり、それぞれがビニール合羽などで自衛し、いざトラックへと繰り出しました。
が、その時、なんと天の神様から無情なみぞれ攻撃。「これにはたまらん」と、いったんベンチに退散しました。
しばらくしてみぞれが通り過ぎたので、哀れな子羊達は、再びスタートラインに立ったのでありました。
[仕切り直しのスタート(9時17分)]
走り出してからも、雨は強くなったり、弱くなったりを繰り返しますが、けっして止むことはありませんでした。
周回数のカウントは、もちろんセルフサービスというか、自己責任です。
GPS機能付きのストップウォッチは身につけていましたが、トラックの周回の場合はなぜか5〜10%くらい短めに計測されてしまうので、これに頼ることができません。 したがって、自分で数えなくてはいけませんが、どうしても途中であやふやになってしまいます。
そのため私は、1周を2分30秒のペースに決めて走ることにしました。10周で25分。これを1セットとして、ストップウォッチのラップタイムボタンを押し、次のセットの計測をはじめることで、周回数をカウントしました。
さて、走り出して間もなく、予想外の事態が生じました。それは、頻繁な尿意です。スタート直前に小用をしっかり済ませていたのにもかかわらず、強烈にもよおしてきたのです。
1セットの10周を終えるやいなや、トイレへ駆け込みました。しかし何と、あまりの寒さで指先の感覚が麻痺してしまい、パンツを下げて銃身を出すことにさえ困難をきわめたのです。それでもどうにか、縮こまった息子をつまみ出して放水を終えたものの、先が思いやられました。
しかもさらにこのあと、20周目、30周目、40周目、50周目と、中盤までは25分走る毎に小用を足すという、未だかつて経験したことのない、源泉垂れ流し状態に落ち入ってしまったのです。
見ていると他のランナーも、頻繁にトイレに駆け込んでいるようでした。それも無理からぬことだったのかもしれません。なぜならこの日の気温は、スタート時に6度。それからも次第に冷え込んできて、最後には3度まで下がっていたそうです。寒くて汗が出ない分、全部おしっこになって下ってきたということなのでしょう。
ということで、トイレの所要時間が余分に加わり、半分の54周を終えた時点のタイムは、2時間半というキリのいいものでした。
[54周でエイド休憩(11時37分)]
後半に入ってさらに走っていた時、トラック上のランナーが半分以下になっていることに気づきました。そして、ふとベンチを見ると、ドスコイさんはじめ、数名がすでに着替えを終えてベンチに陣取っているのが見えます。
ベンチを後にし、帰っていこうとしているランナーもいます。冷たい雨に打たれながら走っている身からすれば、「いいなあ・・・」と、羨望さえ感じました。
[ベンチの光景(11時53分)]
その時、「そろそろやめてもいいんじゃないか」という、弱い自分が顔を出してきました。
「いやいや、煩悩を残したまま年を越したら悔いを残すぞ」という、もう一人の自分もいました。心は揺れるまま走り続けます。
60周では、初めてトイレをスルー。70周で6回目のトイレ。80周目はこれをスルーし、残り28周となります。先が見えてきました。
しかし、相変わらずの冷たい雨。撥水機能がだいぶ低下したゴアテックスのジャケットの下には、体に密着したスリーブとノースリーブを1枚ずつだけという軽装備だったため、体の冷え方が尋常ではありません。残りの距離を走り切る体力が無くはありませんでしたが、さらに1時間半以上も冷たい雨に打たれる気力が残っているかどうかは、きわめて微妙でした。
[降り続く雨]
それでも、81周、82周、83周と、我慢の走りを続けていました。 と、その時、ハッと気づいたのです。「88周」が、間近に迫っていることを。
「88」と言えば米寿。目出たいではありませんか。それに、四国の霊場巡りだって88カ所。トラック88周ランをこれになぞらえれば、ご利益抜群に違いありません。 ついでに言えば、グランドピアノの鍵盤だって、たしか88個のはずです。なんだか豪華な感じさえしてきます。
それにそもそも、108の煩悩ってなにがそれなのかは知りませんが、私の場合、たらふく食べて、しこたま飲み、寝たいほど寝て、過激に走る・・・少なくともこの4つの煩悩だけは残しておかないと、生きる意味がなくってしまいます。
ということで、煩悩も、全部は祓い去るべきでないという結論になり、撤退のための理論武装は完了です。
こうして私は、 88周(35.2キロ)を3時間54分で走り終え、「煩悩マラソン」あらため「末広がりマラソン」を、見事に“完走”したのであります。
ベンチに入った私には、走友たちから完走者へ贈られるはずの拍手はなぜか無かったものの、温かいワンタンスープが用意されていました。ありがたや、ありがたや。
なおこの日、108周を完走したのは4人で、10人はクォーターやハーフでやめています。煩悩を祓い去るのは、たやすいことではないようです。
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